恋してセンセイ。




ある日の病室


「 いつも果物ありがと。毎日食べてるから元気になったわ 」


「 美味しいでしょ?この人の野菜とか果物は市場でも人気なんだって…! 」


いつも通りナイフで果物の皮を剥いていく。


その隣のベッドに座って書類に目を通してペンを動かす母。


「 まだ仕事はしない方がいいんじゃない?また疲れちゃうよ 」


「 大丈夫よ、もう元気だもの。心配してくれてありがとう。……あっ、そういえば私の書斎の机の中に大事な書類が入ってるの。ごめんだけど持ってきてくれるかしら…? 」


その机の鍵と思われるキーをあたしに預ける。


「 あたしが入ってもいいの…? 」


「 1番信頼できるのは娘よ。2段目の引き出しに入ってるわ 」


「 …うん、わかった! 」


預かった鍵を握りしめて、病室を出た。



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