恋してセンセイ。




赤の他人が気安く聞いてはいけないことだってわかってる。


けど自分も似たような経験をしたからなのか、綺帆のことだからなのか…


今しか聞けない気がするから


ある程度覚悟を決めて、俺は聞いたんだ。


「 あの…、綺帆の父親のこと、教えてくれませんか? 」


………


しばらく沈黙が続いたあと、綺帆の母親が口を開いた。


「 私が大学生の頃、初めて好きになった人ができて、お付き合いしたのが綺帆の父親だったの。誰にでも優しくて気遣いができて、笑顔の似合う人だった 」


大財閥の次期会長になる人が好きになった人…


とても真面目な人なのかと思ったが、
俺の想像とはまったく真逆の人みたいだ。



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