恋してセンセイ。




その日の夜


「 綺帆ー?いるかー? 」


あの後、病院に戻ることはなく、ずっと待っていたと思われる千紘が少し遅めに帰宅した。


先に帰っていたあたしは1人でポツンと
ソファに座っていた。


「 …うわっ!いるなら電気くらいつけろよ。…元気ないみたいだけど、何かあったのか?病院にも来なかったし…… 」


あたしの隣に腰を下ろす。


そして泣きすぎて目が腫れていることに気づくと、そっと手を握ってきた。


「 どうした?そんなグチャグチャな顔になって…ほら、鼻水垂れてるぞ 」


鼻にティッシュを当てて、あたしはそのまま溜まっていた鼻水を出した。


「 …ありがと 」


「 落ち着いたか? 」


「 千紘…、あたしお父さんに会った…」



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