恋してセンセイ。




何も気づかないまま静かな長い廊下を先輩の後ろからついていく。


「 ここ。入って? 」


隙間から薄っすら見えたのは道具などで窓が塞がれてるせいか薄暗い空き教室。


「 ここ誰もいませんよ…、え、どこっ 」


教室のドアを開けると先輩があたしの背後に回って、思いっきり背中を押して無理やり中に連れ込んだ。


「 え、なに?どうしてここに…!? 」


ふっ…と笑う先輩。


「 翠のこと諦めたくなかったけど、昨日メールが来てさ、" 本当に無理だから。綺帆にも近づかないで "って言われちゃったんだ 」


昨日とは違い笑いながら話し始める。


「 でももう翠のことはどうでもいい。
…綺帆ちゃんのこと好きになったから。翠の友達にはさすがに手は出さないようにしようって思ってたけど、綺帆ちゃんのことだけは無理。本気で好きになってしまったんだ。 」


不気味な笑みを浮かべながら徐々に近づいてくる。




その顔は2年前のあの男の顔と一緒____



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