Dragon's Dogma ~数多の伝説に埋もれる一片の物語~
 黒呪島入り江のリムを通じて領都まで戻る。便利なんだけど、リムを抜ける最中、なんか少し身体が重く感じる。ちょっと最近飲み過ぎかなぁ。なーんてね(笑)
 姉さん曰く、『転身の秘術』の効果が切れてきているのか原因じゃないかって。そう言えば、『ポーンの証』も気持ち薄くなってきている気がする。意外と短くない?これ。でも、秘術は術者の能力とかだけじゃなく、被術者、つまり私の状態も深く関わっているんだって。もう「姉さんを見つける」って、目的は果たしちゃったからね。とすると、こうしてリムを抜けられるのは今だけ?じゃあ、もっとあちこち旅してみたい!そんな話をしてたら、姉さんが笑って、「私たちはそんなことを思いもしません。もう覚者様に戻られるのはすぐですね。」って。

 領都のリムストーンはポーンギルドの目の前。都合がいい。私はバーナビーさんのもとに駆け込んだ。勿論、ユリカとジョリーンさんがどうなったのかを知るために。そして、そこまで手が回ってなかったけど、私にフィーを託した、姉さんの古くからの親友マッセーラさんの手がかりは見つかってないかなって。
 結論から言うと、魔女二人はポーン郷で深い眠りに就いたままだそうだ。無事ではいるけど、いつ目を覚ますかは分からない。早くもう一度会いたいと切に願う。
 そして、マッセーラさんの方は全く消息が掴めていない。ポーンギルドのみんなの僅かばかりの証言から考えると、どうもあのピエロの仕業なんじゃないかと思う。いや、絶対にそうだ。そんなイヤらしいことするヤツなんて他にいない。これについては姉さんも同意見らしく、顔には出さないけど、焦っているのを凄く感じる。私の腰に『神断ちの剣』がある以上、必ずヤツと再び対峙するだろうけど、待つしか他にない自分がとてももどかしい。
 どうにも暗い心持ちの姉さんと私。ポーンギルドの簡易な会議室でお互い向き合って言葉無く、どうしたものかと思案に耽っていた。そんなときだった。大小二人の影が古ぼけた木製の扉を開け、私たちを訪ねてきたのは。
「覚者殿!」
「師匠~!」
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