Dragon's Dogma ~数多の伝説に埋もれる一片の物語~
一人旅ってこんなに寂しいんだね。昔はそんなこと、思いもしなかった。
領都から北へ向かい、デオス丘陵地帯から不吉の森を抜けて長城砦へ向かう姉さんや"覚者マチルダ"と別に、私は一人で修道院のある立ち枯れの森から南ルートで砦を目指すことにした。まぁ、小さな隊商と共に進んだりで最初の目的地、修道院までは狼を追い払ったくらいで済んだ。修道院の周りは名前通りで、殆ど葉を付けていない寂しい木々しか見えない。おまけに鴉なんかが多いから気味悪いし、よくこんなとこに修道院を建てたなって思う。
確か、ルゥさんの話によれば、修道院は『救済』とは対立関係にあったはず。警戒は怠らないけど、一晩の宿を借りるには調度いい。私は修道院の門をくぐり、とりあえず近くにいたシスターに話し掛けた。
「すみませ……って、わッ!キ、キナ!?」
「あら!マチ……フゴフゴ。」
名前を呼ばれそうになって、思わずシスターの口を手で塞いだ。そう、彼女はキナ。カサディスで幼い頃、共に過ごした親友。なんでここに?でも、それは彼女も一緒らしく、目を真ん丸くしてこちらを見ている。とにかくお互いの無事と再会を喜び、一通り近況報告をし合ったんだ。あ、勿論、故あって、ドロシーちゃんに変装してるってことも強く断言しといたよ。
キナは私が赤竜に心臓を奪われたことをずっと気にしていて、何とかしたいと思ってくれていたらしい(私は知ってのとおり領都生まれ。で、ベルダ森林地帯の入り口にある樵の父さんの家で暮らし、あの事件が起こった。その後、悲しみと憎しみに支配されて彷徨い、身も心もぼろぼろな時、赤竜と出会ったんだ。その後、カサディスの父さんに引き取られ、キナと一緒に育った。ん?カサディスは赤竜に襲われてないよ?)それで、教会なら竜についての知識や文献も充実しているだろうって、シスターになることを決めたんだ。私のために……。で、どうもキナには癒し手としての素養があったらしく、それをシスター長のクレラスさんに見出だされ、今は大陸の大教会に推薦されて、修行しながら返事を待っているところなんだって。
その夜は、客用宿舎でキナと久しぶりにたくさん話した。シスターは厳しい戒律の中で生活しなくちゃなんだけど、どうもクレラスさんが気を利かせて、私の世話役にしてくれたらしい。私がカサディスを出た後の村のこととか(友達それぞれの恋の行方とか)たくさんたくさん話せた。私は私で姉さんと語り合った日以来、ジークさんの面影は遠くなってるし、キナの方も修行中で(しかも女ばかりの修道院勤め)全然格好良い人に会えないってぼやいてたな。まぁ、他人の話でも盛り上がれるからいいんだけどね。カサディスに帰った際に何度か顔を合わせている姉さんのことも話したよ。綺麗な人だねって。そう言われると私まで嬉しくなっちゃう。
出立の時間は、キナとお別れの時は、あっという間に訪れてしまった。もしかしたら、キナとはもう会えないかも知れない。お互い口にはしないけど、感じていたよ。だから、別れの時には自然と涙が溢れてさ。寝不足で充血した眼を誤魔化すのには調度良かった。
また一人。立ち枯れの森から不吉の森に移り、北上を続ける。以前、アツシさんの特製オムレツ作りを手伝ったとき、風味と香り付けのキノコ、『ムカシガタリ』を採りに来たのはこの辺りだったっけな。あの時はカーちゃんこと、Curtaincallさんが一緒だった。で、この区域はオーフィス率いる女盗賊団の縄張りなんだ。面識はないけど、相当な男嫌いらしくて、女の私だったら特に問題なく通してくれるだろうって話。
領都から北へ向かい、デオス丘陵地帯から不吉の森を抜けて長城砦へ向かう姉さんや"覚者マチルダ"と別に、私は一人で修道院のある立ち枯れの森から南ルートで砦を目指すことにした。まぁ、小さな隊商と共に進んだりで最初の目的地、修道院までは狼を追い払ったくらいで済んだ。修道院の周りは名前通りで、殆ど葉を付けていない寂しい木々しか見えない。おまけに鴉なんかが多いから気味悪いし、よくこんなとこに修道院を建てたなって思う。
確か、ルゥさんの話によれば、修道院は『救済』とは対立関係にあったはず。警戒は怠らないけど、一晩の宿を借りるには調度いい。私は修道院の門をくぐり、とりあえず近くにいたシスターに話し掛けた。
「すみませ……って、わッ!キ、キナ!?」
「あら!マチ……フゴフゴ。」
名前を呼ばれそうになって、思わずシスターの口を手で塞いだ。そう、彼女はキナ。カサディスで幼い頃、共に過ごした親友。なんでここに?でも、それは彼女も一緒らしく、目を真ん丸くしてこちらを見ている。とにかくお互いの無事と再会を喜び、一通り近況報告をし合ったんだ。あ、勿論、故あって、ドロシーちゃんに変装してるってことも強く断言しといたよ。
キナは私が赤竜に心臓を奪われたことをずっと気にしていて、何とかしたいと思ってくれていたらしい(私は知ってのとおり領都生まれ。で、ベルダ森林地帯の入り口にある樵の父さんの家で暮らし、あの事件が起こった。その後、悲しみと憎しみに支配されて彷徨い、身も心もぼろぼろな時、赤竜と出会ったんだ。その後、カサディスの父さんに引き取られ、キナと一緒に育った。ん?カサディスは赤竜に襲われてないよ?)それで、教会なら竜についての知識や文献も充実しているだろうって、シスターになることを決めたんだ。私のために……。で、どうもキナには癒し手としての素養があったらしく、それをシスター長のクレラスさんに見出だされ、今は大陸の大教会に推薦されて、修行しながら返事を待っているところなんだって。
その夜は、客用宿舎でキナと久しぶりにたくさん話した。シスターは厳しい戒律の中で生活しなくちゃなんだけど、どうもクレラスさんが気を利かせて、私の世話役にしてくれたらしい。私がカサディスを出た後の村のこととか(友達それぞれの恋の行方とか)たくさんたくさん話せた。私は私で姉さんと語り合った日以来、ジークさんの面影は遠くなってるし、キナの方も修行中で(しかも女ばかりの修道院勤め)全然格好良い人に会えないってぼやいてたな。まぁ、他人の話でも盛り上がれるからいいんだけどね。カサディスに帰った際に何度か顔を合わせている姉さんのことも話したよ。綺麗な人だねって。そう言われると私まで嬉しくなっちゃう。
出立の時間は、キナとお別れの時は、あっという間に訪れてしまった。もしかしたら、キナとはもう会えないかも知れない。お互い口にはしないけど、感じていたよ。だから、別れの時には自然と涙が溢れてさ。寝不足で充血した眼を誤魔化すのには調度良かった。
また一人。立ち枯れの森から不吉の森に移り、北上を続ける。以前、アツシさんの特製オムレツ作りを手伝ったとき、風味と香り付けのキノコ、『ムカシガタリ』を採りに来たのはこの辺りだったっけな。あの時はカーちゃんこと、Curtaincallさんが一緒だった。で、この区域はオーフィス率いる女盗賊団の縄張りなんだ。面識はないけど、相当な男嫌いらしくて、女の私だったら特に問題なく通してくれるだろうって話。