あの日ぼくらが信じた物
昼間でもドアを閉めるとかなり薄暗い玄関では、親子の顔までは解らないが、母がケラケラと笑っている所からして、悪いお客じゃないのだろう。
「マァッ! そんなことしていただかなくてもっ、そうですかぁ? いや却って悪いわぁ?」
母は図々しいと思わせる事なく頂き物をしてしまう『頂き物の達人』だ。受け取って「悪いわぁ」と間を開けずに付け足すのは、厚かましく見られない為の『処世術』なんだそうだ。
「いえいえ、いつでも遊びにいらしてね? こちらこそ宜しくお願いします」
話が終わったようなのでまた覗いてみると、玄関先の対面道路で頭を下げている親子が見えた。
季節的にまだ早いんじゃないかとも思える、薄手の白いワンピースを着た女の子。西日の照り返しを受けて眩しく輝いているあの娘は……。
「マァッ! そんなことしていただかなくてもっ、そうですかぁ? いや却って悪いわぁ?」
母は図々しいと思わせる事なく頂き物をしてしまう『頂き物の達人』だ。受け取って「悪いわぁ」と間を開けずに付け足すのは、厚かましく見られない為の『処世術』なんだそうだ。
「いえいえ、いつでも遊びにいらしてね? こちらこそ宜しくお願いします」
話が終わったようなのでまた覗いてみると、玄関先の対面道路で頭を下げている親子が見えた。
季節的にまだ早いんじゃないかとも思える、薄手の白いワンピースを着た女の子。西日の照り返しを受けて眩しく輝いているあの娘は……。