あの日ぼくらが信じた物
「うわぁ、あったかぁい」


 そう言ってみっちゃんはぼくの背中に擦り寄って、身体を密着させてきた。

みっちゃんは見た目細くて骨っぽいから、こんなに温かで柔らかだったなんて思いもよらなかった。

ぼくの背中は最早目さえも付いている程に研ぎ澄まされている。触覚や温感をフル稼働して、みっちゃんの感触を貪っていた。


「おやすみなさい、あきらくん」


 みっちゃんはそう言うと、ぼくの肩に手を回して眠りに就いた。さながらぼくは『大きめのクマちゃん』のようにみっちゃんの懐に収まった訳だ。



  ムクッ ムクムク ピキィィィン!



 しかしそれとは逆に、みっちゃんのまだ成長し切っていない、けど他のどの部分より柔らかな胸が二の腕に押し付けられているとの結論に至ったぼくは、また痛い程に身体の一部分を硬直させていた。


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