あの日ぼくらが信じた物
 ぼくは堪らずみっちゃんを抱き締め、何度も唇を重ねた。彼女の胸はブラジャーの拘束から放たれ、ぼくの手の中で弾んでいる。


「ああっ、あきらくん駄目っ。人に……人に見られちゃう」


 夢中になって我を忘れたぼくを、みっちゃんは現実に引き戻した。


「駄目よ。恥ずかしい思いをさせちゃ! 私は女の子なんですからっ」


 そそくさと服装を整えて立ち上がるみっちゃん。

 みっちゃんだって気持ち良かった癖に。

 そう思って立とうとしたぼくの足は、今まで経験した事も無い興奮で、わなわなと震えてしまっていた。何とか力が入るようになって間もなく、みっちゃんは時計を見る。


「もうこんな時間だわ? あきらくん、帰らないと」

「う、うん。か、帰ろう」


 ぼくらは急いで歩き出し、いつもの神社を後にしていた。


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