あの日ぼくらが信じた物
 並んで歩く2人の間には普段と違う空気が流れている。でもそれは嫌な感じの物じゃない。

今まで家の近所では手を繋いだりさえもしなかったぼくらだったけど、その手と手はまるで磁石にでもなったようにくっ付き、指と指が絡まった。


「みっちゃん………」

「あきらくん………」


 ぼくらは言葉を繋ぐことが出来ずに黙ったままでいた。いや、敢えて言葉を発さずとも互いの心が理解出来たような気がしたんだ。


「今度やる時はうまく行くといいわね、あきらくん」

「みっちゃん。勿論うまく行くさ」


 あの石が気持ちの通じ合った2人にどんな世界を見せてくれるのか、ぼくらは期待に胸を膨らませていた。


「痛いっ」


 急に足を押さえてみっちゃんがうずくまった。


「どうしたの?」

「ううん、ちょっと足を捻ったみたい」


 これがその後、2人の運命を変える事になるなんて思ってもみなかったんだ。


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