あの日ぼくらが信じた物
「ううん、あきらくん。私、もう帰らなきゃ」


「そっか。時間なら沢山有るしねっ……でもこれで、ぼくたちの心が通じ合っていることが証明されたよね、みっちゃん」


「うん! でもね、あきらくん……」


 みっちゃんは急に真面目な顔になって言った。


「どうしたの?」


「私のこと、ずっと覚えていてね?」


「なんだよみっちゃん。そんなの当たり前じゃないか!」


 そう言って笑い飛ばしたけど、みっちゃんは真っ直ぐな瞳でぼくを見詰めている。

 ぼくはそんな彼女に見とれてしまって、すぐにその瞳から目を逸らした。だってそうでもしなければ、美しいみっちゃんの瞳に吸い込まれてしまいそうだったから。


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