あの日ぼくらが信じた物
「みっちゃん、足疲れてないかい?」


「うん、ちょっとしんどいかも」


「あそこで休んでいこう。知ってる? ここのバナナボート滅茶苦茶美味いんだ!」


「ホントに? 楽しみ!」


 みっちゃんもぼくも甘い物には目がない、当時はまだ珍しかったオープンテラスの有るそこで一休みすることにした。


「みっちゃんは何飲む? ぼく、ばあちゃんから入学祝貰ったから奢るよ」


「有り難う! でもいいわね。私の親戚は皆北海道だから、お祝いはパパとママがしっかり頂いちゃってるんだもん。

 そうだなぁ。私、アイスミルクがいいな」


 ぼくはみっちゃんを椅子に座らせて店内に入った。少し暗いそこから外に居るみっちゃんを見ると、文字通り彼女は輝いている。

白地に薄い花模様が儚く揺れているワンピースに、負けない程の白い肌が今日の少し暑い位の陽射しを照り返して眩ゆいばかりだ。


「お客さん、ご注文は?」


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