あの日ぼくらが信じた物
「ハウスキーパーを定期的に入れているから気にしないで。

 私からの結婚祝いよ。世話になってる久美の大事なお友達ですもの」


 ハウスキーパーが後始末をしてくれるのなら気が楽だ。ぼくらは中山さんに改めてお礼を言うと、再会を固く誓って別れた。



銀行の電光掲示板───────



「わわっ! お前らどこから現れた」


 見知らぬおじさんの目の前へ着地したぼくらにビックリした彼は、肩をいからせてイチャモンを付けてきた。


「スイマセン、急いでて」


 みっちゃんが眉毛を下げながら懇願すると「ま、気を付けろよな、ねぇちゃん」と言っておじさんは去り、事なきを得る。

ぼくはみっちゃんを自転車の後ろに乗せて、全速力で家に帰った。


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