あの日ぼくらが信じた物
「じゃあみっちゃん。今日は疲れただろうし、お薬飲んで、ゆっくりパパママと過ごしたらどう?」

「そうね、そうするわ。ねえ、あきらくん」

「ん? みっちゃん」

「素敵だったわよ、ア・ナ・タ」


 そう言うとさっさとみっちゃんは玄関に入って行った。酷いびっこを引いていたからかなり痛かったんだろうと思うけど、彼女は笑顔を絶やさなかった。

しかしみっちゃんの病気は確実に進行している。ぼくは更に努力して、みっちゃんをもっともっと幸せにしなければいけない。



次の日から───────



 ぼくらは新婚旅行として色々な所へ出掛けることにした。

 シルクロードで風に吹かれ、シャンゼリゼを散策し、ゴールドコーストで海水浴。ぼくらが願えば行けない場所など無かった。


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