あの日ぼくらが信じた物
それから───────



 入学式も終え、ぼくらは揃って高校生になった。

 白いワイシャツをリボンで結び、青いブレザーに金ボタンとグレーのスカートが、理知的なみっちゃんの顔に良く似合う。

ぼくの学校は冴えない学ランと地味なセーラー服だったから、みっちゃんの美貌を包むにはやっぱりブレザーが良かったんだと思う。

 袖を通す制服は違うけど、夏休みにはまた沢山思い出を作ろうと約束して、それだけの為に2人は毎日頑張った。



───────



 しかし結局、その日を待たずして彼女は死んだ。

 もっと2人で行きたい所が有ったのに。

まだまだ一緒に居られると思っていたのに……。



 酸素吸入器を外して最後に彼女が口にしたのは「ありがとう、あきらくん」のひと言だった。


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