あの日ぼくらが信じた物
「みっちゃん。どうして息をするのをやめたの? どうしてぼくから離れていくの?」


 泣いちゃいけない。ぼくのみっちゃんはまだ死んでなんか無い。

ぼくの手にはまだ彼女の温もりが、白くて細い指の感触が残っているから。

また明日になればぼくが迎えに行って、みっちゃんを駅まで送って行ってあげるんだから。

そして夏休みにはあの石で、沢山の知らない町へと跳ぶんだから。


「ねぇ、みっちゃん。そうだよね? ……答えてくれよぉお。もう意地悪しないから。ちゃんと一緒に景色も見るから。

 もう少し待ってくれれば背も伸びて、みっちゃんに相応しい男になるからさぁああっ!」


 ぼくはとうとう堪えきれずに声を上げて泣いていた。

ご近所に聞かれても構わなかった。「ぼくの慟哭よ、空の上に居るみっちゃんへ届け」とばかりに泣いたんだ。


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