あの日ぼくらが信じた物
 みっちゃんの親戚関係に会ったことは一度もなかったので、失礼が有ってはいけないとぼくは、いつもするより慎重にその老婦人へ向き直った。


「私はね、あきらくん。光代の祖母よ? 今日は北海道の家族もほとんど来てるわ? こんなことでもないと、こっちには中々これなくてね」


 これが嘘をついたことが無いという、みっちゃんのおばあちゃんか。

だから彼女と話し方が似ていたんだ。


「この度は……」


「そんな杓子定規な挨拶はいいから!」


「あ、はい」


 おばあちゃんはみっちゃんに輪を掛けて仕切り屋さんみたいだ。


「あの石、まだ持ってる?」


「ええ、勿論。みっちゃんとの思い出の品ですから肌身離さずここに」


「ありゃ。大分黒くなってるわね、駄目かなぁ」


 おばあちゃんは眼鏡をずらしながら石を観察している。


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