あの日ぼくらが信じた物
「もうっ! あきらくんのエッチ!」


 自分でからかった癖に、みっちゃんまで真っ赤になっている。照れ隠しにまた持ってきたアルバムに貼られている写真に、ぼくは心奪われた。


「これはわたしのパパが、風景だけを撮った物なの」


 そこには美しくも静かなカナダの大自然や、それと上手く融合した街並み等が並んでいる。少し色は褪せてしまってたりするけど、本物はもっと綺麗で壮大なんだろうと想像出来た。


「綺麗でしょう! かなり寒いんだけど、夏は凄く素晴らしい所よ?」


 みっちゃんのお父さんは材木関係の貿易会社に居るらしい。カナダ勤務を終え、本社に戻ったらしいが、都会の喧騒が嫌でこんなへんぴな所(バイオレットタウン)に居を構えたんだとか。


< 26 / 236 >

この作品をシェア

pagetop