あの日ぼくらが信じた物
「どれどれおばちゃんにも見せてぇ? あら、やっぱり男前だわね。光代ちゃんは可愛いもの……2人ともがいいからこそよねぇ」


 顔を真っ赤にして「そんなことないわよぉ」なんて言ってるみっちゃんママだけど、ぼくには(失礼ながら)親2人の良いところだけを集約して受け継いだのがみっちゃんなんだと思えた。

そうこうしている内にいい時間になって、ぼくらはウチに帰って来た。多分お茶のお供に出される予定だったのだろう、ケーキをお土産に頂いて。


「さすがやることがお洒落よね。こんなお土産まで用意してくれてるなんて」


 帰って来るなり母は言ってたけど、キッチンで繰り広げられていたトラブルシューティングについては、敢えて母には言わないでおいた。

そうすることでぼくは、ちょっぴり大人の世界を垣間見れたような気がしていたから。


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