あの日ぼくらが信じた物
 その週末に家族同士の交流を図る目的で、ウチと鈴木家は一緒にハイキングに出掛けた。

ペンキ屋の父ちゃんと貿易会社に勤めるみっちゃんパパとは、まるで接点なんか無いように思えたけど、2人とも学生時代に登山をやっていたということも有って意気投合していた。

みっちゃんママとウチの母ちゃんは、大好きな俳優さんが一緒なんだって。

結婚してるのに大好きな人が居るなんて、大人はなんていい加減なんだろうと思ったりして。

でもぼくはみっちゃんと一緒にハイキング出来るのが凄く嬉しかった。


「あきらくぅん。もう疲れちゃったぁ、引っ張ってぇっ」


 身体の小さなみっちゃんは、ぼくら子供から比べても更に体力的に頼りない。リュックは早い内からみっちゃんパパが担いでたし、遂には水筒でさえみっちゃんママに預ける始末。


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