あの日ぼくらが信じた物
 父ちゃんは、好きな野球も観ずにぼくらのことを考えて、ああ言ってくれたんだ。

でもぼくにだって子供なりのプライドが有る。

みっちゃんパパやママ、母ちゃんだってぼくらのことを心配してくれている。

でももうひと月もみっちゃんとは喋っていない。今更なんて話していいのか、なんて謝ったらいいのか解らないじゃないか!

1人であれこれ考えている内に、いつの間にかぼくは眠ってしまっていた。



翌晩───────



「あの……父ちゃん?」


「なんだ!」


 ぼくは勇気を振り絞って昨日のことを謝ろうとしたけど、父は機嫌が悪かった。多分あの時、ちゃんと謝らなかったからだろう。


「いや、昨日のことなんだけど……」


「ああ、お前は留守番してろ。夜は店屋物でも頼んで喰えばいいだろ」


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