あの日ぼくらが信じた物
 取り付く島もない。こういう素直じゃ無いところが似てしまったんだ。


「父ちゃんがこうだからぼくがそうなんだよ。ぼくのせいじゃない」


 せっかく謝ろうとしたのに、無下に突っぱねられたぼくは完全なひねくれモードに入っていた。



数日後───────



 夏休みに入り明日がバーベキューの日になった。父はいつ買ってきたのか新品の釣竿を眺めている。

母は弁当のおかずを下ごしらえしたり、レジャーシートを畳んだり、クーラーボックスを用意したりと忙しく立ち働いている。


「こういう時も、一番忙しいのは母ちゃんなんだよな」


 なんの手伝いもせず今度はリールをいじり出した父を見て「ぼくはあんな大人にはならないぞ」と、独りごちていた。


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