あの日ぼくらが信じた物
 午後はぼくらも一緒になって、父親達のファイトに付き合った。ぼくらが合流した事で運気が変わったのか、面白いように魚が釣り上げられていく。


「これじゃ間に合わんな。おいあきら、母ちゃんとこ行ってクーラーボックス持ってこい!」


 声はあくまで落ち着いているけど、その顔と言ったらまるでマンガのようににやけている父に促され、ぼくはクーラーボックスを取りに帰った。



母2人───────



「でも良かったわね。2人が仲直り出来て」


「子供は親の苦労なんか何一つ解っちゃいないもの」


「鈴木さんとこは苦労なんかしないでしょう? みっちゃんいい子だし。うちはあんなんだから、ねぇ」


 こっちに背中を向け、好き放題語っている2人。まぁいい。今回は確かに世話を掛けたと思うし、凄く感謝もしている。


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