あの日ぼくらが信じた物
 学校からの帰り道。ぼくとみっちゃんは他愛もない話をしながら、通学路として決められているコースを大幅に逸れて歩いている。

これは新学期が始まってからの2人の日課だった。


「のんちんのウチって案外遠くなんだなぁ」


「学区ギリギリのトコらしいわよ? でもこれで3分の1は済んだわね」


 ぼくらは毎日違ったクラスメイトのウチ迄一緒に行き、そこから帰宅している。その道すがら、新たな発見をすることが楽しかった。


「あれえ? あんなトコに森なんか有ったっけ?」


「私は元々詳しくないし」


 線路脇に有るキャベツ畑の奥、住宅街の外れの一角が小さい森になっていた。

畑の真ん中にはおあつらえ向きにその森迄続く農道が一直線に続いている。


< 67 / 236 >

この作品をシェア

pagetop