あの日ぼくらが信じた物
「なんかワクワクするね」


「そうかしら。ただ汚いだけじゃない」


 やはりみっちゃんは女の子だから、こんなトコに興味は無いのかも。


「ああっ? あきらくん、こっち来て!」


 いつもおしとやかなみっちゃんが大きな声を出すなんてなんだろう、と覗いてみると、


「可愛いニャン子! 捨て猫かしら」



  ミィ ミィミィ



 箱の中には毛布にくるまった子猫が、ふるふると顔だけを覗かせていた。


「うわっ、ぼく猫アレルギーなんだよな」


「嘘っ! こんなに可愛いのに、ウチのママと一緒のアレルギーね」


「え? みっちゃんチはダンディー飼ってるじゃん」


「ダンディーは犬でしょ? あきらくんだってダンディー触っても平気じゃない。犬と猫は違うらしいわよ」


 確かにぼくは、ダンディーをいじっても何でもなかったけど……この猫は……。


「ヘックショイ、ブァックショイ! あああ、鼻がムズムズする」


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