あの日ぼくらが信じた物
 みっちゃんはただでさえ眉毛が下がってるから、そういう風にすると如何にも「なんとかしてあげたい」って顔になる。

 ウチの親2人がワイドショーを見ながら言ってた『小悪魔』ってのは、こういう事を言うのかも知れない。


「わかったよ。持ってくればいいんだろ? 牛乳っ!」


「さっすがあきらくん。お皿もお願いね?」


 ぼくは「解ってますよ、王女様」と言い残し、ウチ迄走って帰った。



───────



「やっぱりお腹空いてたのねぇ」



  ピチャピチャピチャ



 ぼくの苦労を知ってか知らずか、子猫は脇目も振らずに牛乳を飲み続けている。皿を取るついでで「ウチで猫飼ってもいいか?」と試しに聞いてみたけど、母からは一笑に伏されてしまっていた。


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