あの日ぼくらが信じた物
 2人の秘密は、3週間にも満たない短い期間を経た末に、呆気なく幕を降ろした。



そして終業式───────



「今日は久し振りに森へ行ってみない?」


 珍しくみっちゃんからお誘いが有った。ぼくは悲惨な通信簿を親に見せる恐怖の時間が先に伸ばせるならと『渡りに舟』で承諾していた。



───────



「なんだか随分寂しくなっちゃったわね」


 森の木々もすっかり葉を落とし、雑草も立ち枯れ、冬支度を整えたそこには、ただ風が吹いているだけだった。


「寒いわね。マーガリンも震えてないといいけど」


 あいつは天国でぬくぬくしているさ。

 ぼくはそう思いながらも、口では「そうだね。猫は暖かい所が好きだからね」なんて言っていた。



  ピュッ



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