あの日ぼくらが信じた物
「えっ? い、今なんて……」


 ぼくは自分の耳を疑った。キスをした事は有っても中学3年間の間にぼくらがしたのは、抱き締め合う位のスキンシップしか無かったからだ。

 中学に入ってバスケットをやり始めたみっちゃんの身長は、みるみる内にぼくを追い越して、今では頭ひとつぶんも高い。

その上品な雰囲気と相まって、誰よりも可愛かったみっちゃんは誰よりも綺麗になっていた。身体の丸みも大人のそれと変わりなく発達した彼女は、いつもぼくの色んな所をむず痒くさせていたんだ。


「女の子にそんな恥ずかしい事何度も言わせないのっ」


 みっちゃんは真っ赤になって俯いてしまう。ぼくはといえば、どうしたらいいのか解らずに、ただオタオタするばかり。


「ホントにいいの? 触っちゃうよ?」


 みっちゃんは何も言わず、ほんの僅かコクリと頷いた。


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