お姫様は月に恋をする

「くそっ!くそっ!」

ガンガンと横の木を拳で叩くノアールを打った手をガンガンとガンガンと。
血が少し滲み始めたとき、フルールの目からは涙の筋が流れていた。

「なんなんだ、復讐を果たしたのになんでこんなに苦しんだ!

10年間、この日の為に生きて来た!

それなのに・・・なんで・・・なんでお嬢様の事を思い出すんだっ!」

ぶつけよう無い感情を月に吠えた
森の動物達は一斉に羽ばたき逃げていく。


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