お姫様は月に恋をする

目を合わせず俯いているノワールの頭に男は大きな手で撫でた。
急な事にびっくりしてノワールはぱっと男を見た。

「俺の名前は、ジョン・トラーマ船員達は船長と呼ぶ、お前も船長って呼べ」

豪快な自己紹介だ、目が覚めてから数時間一緒に居たが名前を聞いていなかった事をノワールは思い出した。

「船長・・・?船乗りさん?」

「まー、そんなとこだ」

何かを話す事でもなく、2人は道を歩いた、船乗りと言うのだから、きっと海に向かっているのだろう。
普段の移動は屋敷内か庭を散歩するぐらいで、舗装されてない道を歩くのはノワールにはとても辛かった。
靴は元々履いてなかったので男がシーツと板で即席の履物を作ってくれた。

歩きにくい・・・

足も体も痛い・・・。

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