お姫様は月に恋をする
声を出して泣いた。
「お前なぁ・・・よく泣くなぁ」
船長は優しくノワールの頬と頭を撫でた。
大きくガサツいた手、包むような優しさを感じる。
「痣になってるな、頬、こんな可愛いお嬢様ちゃんを殴るなんて許せねぇな」
鏡を見ていなかったから分からなかったが、昨夜フルールに打たれた頬は赤紫色に大きな痣ができているようだ。
「あり・・がとぅ・・助けてくれ・・・て、ごめ・・…なさぁい」
久しぶりに本当の人の優しさを触れたようでフルールはもっと号泣した、鼻水と涙で顔がぐちゃくちゃになっている。
最後に小さくごめんなさいと呟く。