お姫様は月に恋をする

「もう海賊でも。殺し屋でもいいわ、船長は私を助けてくれた事実には変わりないわ・・」

「飲み込みがはえーな、そうだ俺は海賊の船長だ、そしてお前は仲間だ」

仲間と言う言葉なんだか心地よさを感じた、吹き抜けた海風のせいかもしれない。
自分の顔が、風に吹かれながら赤くなるのが分かる、こんな感情はじめてかもしない。

「ありがとう・・・」

ノワールの感謝の言葉はなだらかな波音でもかき消されそうだった。

「は?聞こえねーよ!なんだって?」

「もう!知らない!ばか!」

真っ赤になったノワールは船長とトトに背を向け船の反対側に走っていった。

「なんだよ、あいつ、お嬢様が馬鹿って言うのか?」

「船長・・・貴方って人は、ありがとうって言ったんですよ・・・」

「あははは、ありがとうかっ!俺はなんもしてねーけどな」

照れたのだろうか、船員もトトを残しノアールを追いかけた。


船長の優しさで救われた、船員達がこの船には沢山いる。
そのお話はまた後ほど。

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