無題
森に着くと、丈夫そうな木を探した。

僕は首吊り縄を作ると、木に縛り付けた。

僕は僕のことを考えた。

僕は頭がいい、それだけでただの男子だ。

友達がいないのは別に勉強のせいではない、それもわかってはいる。

それが何のせいであれ、僕は死にたい。

今頃、両親は僕のことを探しているのだろう。

そう思うと申し訳ない気持ちと淋しい気持ちが込み上げてきた。

首を縄にかける直前に、僕は両親からもらった本の言葉を思い出した。

「人は死ぬと星になる」

本当かよ、とそれを読んだ時の僕は思ったが、なんとなく今はそれが本当の気がした。

いや、そうであってほしいと願った。

僕は星になりたいのだ。
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