無題
やはり、本当に、俺のことを覚えているやつなんていないのだった。

両親でさえも。

俺はなんだか世界に見捨てられた気持ちになった。

居場所はもうなくなっていたのだ。

父さんのことを嫌いになったその時から。

俺は走って、自分の全く知らない道に出ようとした。

途中で俺くらいの子達が小学校から帰るのを見かけた。

俺も、この中にいるはずだったのだ。

そう思うと涙が出てきた。

今まで学校に行けないことを悔しいと思ったことの無かった俺が。

ゲームだけでいいと思っていた俺が、だ。

走り続け、知らない道へ出た。

あまり外で遊んでこなかったせいで、俺には体力がないようだ。

もう疲れてしまった。

どこか店に入ろう。

近くにある店を見渡すと、『ゲームセンター』と書かれたところがあった。

センターの意味はよくわからないが、きっとゲームがあるところなのだろう。

そう思い、俺はゲームセンターに入っていった。
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