SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
黒木がガクガクと震えながら、あたしの体を確かめる。
「 みくっ ! みくっ!」
泣きそうな顔で、あたしの体に手をあてる。
……ああ、
あたし、服が赤と白のまだら模様。
黒木はあたしの手首を両手で包んだ。
……あったかい……
黒木の手から、じんわりとした熱が伝わってくる。
あたしの冷えた体が徐々に温められていく……
黒木は手首の傷も、掻きむしった傷も、あっという間に治してしまった。
「……はあ~、」
黒木はあたしを抱きしめる。
そしてジャケットを脱ぐと、それをあたしにかぶせた。
「 一樹、あとは頼む 」
黒木はチラッと満月を見上げる。
「 ええ。とにかく早く車に 」