SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……ったく、俺はD.S.Pの指揮官だぞ。
黒木ぐらいなもんだ。この俺にそんな口を叩くのは。
呆れていると、一樹が部屋に入ってきた。
「 戻りました 」
一樹はポンと美空の肩に手を置くと、やわらかく微笑んだ。
「 ご苦労だったな一樹。何も問題はないか?」
「 ええ、大丈夫でしょう 」
こんな時、一樹の記憶操作能力は助かる。
美空の力を目撃した人間の記憶をきれいさっぱり消してくれる。
「あ~。一樹、あたし、どうしたらいい。 しるしは呼ぶ。一ノ瀬はだめっていう。 いっぱいわからない 」
「 そ~なんだ。教えてくれよ、イツキい!」
答えを求めるように、美空と黒木が一樹を見上げる。
「……う~ん、」
一樹はあごに手を当てながらゆっくりイスに腰掛けた。
「 一樹、お前はどう思う。その、しるしとやらが示す真の意図はどこにあると…… 」
俺も一樹に意見を求める。
「 そうですねえ、」