SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 よし。チンピラの類はそれで片付けられるな。ただし、あまり顔は見られるなよ。 それと最初に一発打たせてやるのを忘れるな。察に引っ張られたら厄介だ 」
一ノ瀬はいつもの険しい顔を少しだけ緩めた。
「 わかった 」
D.S.Pに来て、約四年が経っていた。
ここ一年、あたしのトレーニング内容は厳しいものになり……
厳しいといってもバリアーの強化はもちろん、それ以外の事がだ。
例えば、普通の女の子としての振る舞い方や、生活態度、一般社会で生き抜く為の術やコツ、
たてまえ? 言い訳……?
とにかく、たくさんのマニュアルを頭に叩き込んだ。
すべてはこの日の為……
あたしは今日、D.S.Pを離れる。
「 いいか、無理はするなよ。たとえ十ある力でも普段の力で間に合うなら、しるしの力は使うな。 それと、報告は必ずしろ。連絡も、相談も。ホウ、レン、ソウだ。分かったな。 あと、人員が不足した時はこっちを手伝ってもらうからな 」
「 うん 」
「 寂しくなるわ、美空。元気でね 」
「 うん。凛子も 」
「 たまには顔を見せに来い。ワシが稽古をつけてやるからのう 」
「 ありがとう、じーさん。元気で 」
三人の顔を目に焼き付けて、
あたしは歩き出した。
よく晴れた、青空の下を……