SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇学校へ行こう!〜新たな出会い
「 ユリ、これでいいの? 」
あたしは手ぐしで髪を整えながら、鏡に映る自分をチェックする。
白いブラウスに紺色のベスト、グレーのチェックスカート、首元には赤いリボン。
銀の髪の毛は胸のあたりまで伸びて、ゆるやかなカールを描いていた。
「 きゃーっ! かわいい美空! どこからどう見ても完璧な女子高生じゃない!」
大きなエクボを見せてユリが笑う。
「 なあ~、ホントに大丈夫かあ? ミクう~?」
オロオロ落ち着かない黒木は、口角を下げ、わしゃわしゃと自慢のアフロをかき乱した。
「 誠さん、私たち決めたでしょ? 美空の意思を尊重するって。美空ならきっと大丈夫よ 」
見かねたユリが答える。
「 けどよお、いきなり高校生って。やっぱりムリがあるんじゃね~のかあ? 」
「 もう! だったら小学生の続きでもさせろって言うの? 美空の年で、そっちの方がムリがあるわよ!」
「……だってよぉ、」
黒木がシュンとしてうつむく。
「 黒木、あたし大丈夫。きっと、うまくやれると思う 」
「……ミク 」
あたしの言葉に黒木が再び顔を上げた。
「 ほら、美空もこう言ってる事だし大丈夫よ。それに、かわいい子には旅をさせろって言うじゃない。誠さんも、そろそろ美空離れしなきゃね 」
「……ミク、離れ…… ? 」
ピタッと停止し、動かなくなった黒木を横目に、あたしはそそくさと部屋を出る。
「 ミクばなれえええええ~~っ⁉︎ いや~だああああああ~~っ!!! 」
背中に突き刺さる黒木の絶叫、
エントランスを抜け、あたしは外へと飛び出した。
"あまつか みく"
今日からあたしは女子高生。