SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……そっちじゃねえよ、学校 」
少年は一瞬目を泳がせてから、ついて来いとばかりにあたしの前を歩き出す。
……?
少年の背中をじーっと見る。
あたしも後を追うように歩き出した。
だけど、
「 おい! なんでそんなに離れてんだよ!」
少年が振り返って叫んでる。
大声に自転車のおばさんがビクッとなった。
……?
気付けば少年との間に10メートルほどの距離があいている。
少年がはぁ~っと引き返して来た。
ピタッとあたしの前で足を止める。
「 つーか、あいさつぐらいしねえ? 親父に聞いてんだろ? オレのこと 」
少年は怒ったように眉間にシワを寄せている。
少年の、戸惑ったような気持ちが伝わってきた。