SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「 あ~。たしかに、D.S.Pでは使えない力だ 」


……間違っては、ない。

D.S.Pでは、しるしは反応しないから。



「……使えないって、まだ15才だろ。長い目で見りゃ、特訓次第でどーにかなったんじゃねえのか?」


「……まだ、 15才……」


……そういえば、あたし、本当はいくつだっけ。


ふと、そんな思いが頭をよぎる。


まだ15才って、あたし……



「 D.S.Pはまだ人材が不足してんだろ? それをなんでまだ伸びる可能性のある15才をクビにしたんだか…… 」


……あたし、


……一体、 いつまで……


「 いつまで、15才なんだろう 」


「……は? 」


「 加齢停止能力か……」


「 加齢、停止……?」


やっかいな能力が働いたものだ。

これは行使した時点の年齢が、何年月日が流れようと、永久的に持続されるらしい。

他のPSYと違って、自分の意思とは関係なく、常に効果を発揮し続ける……


「 あたしはこれからも、ずっとずっと15才、
 永遠に……15才……」


——ビュウウ!

生暖かい風が髪の毛を散らした。

朝の雑音が耳に戻り、あたしはハッと我にかえる。
< 132 / 795 >

この作品をシェア

pagetop