SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……あれ。
今、なんか、口に出して……
「……おまえ…… 」
透が立ち止まり、驚いた顔であたしを見ている。
「 まさかおまえの能力って、それ? その加齢停止とかいう……? 」
「……あ、」
やっぱり口に出してたか。
「……うん 」
あたしはコクンとうなづく。
加齢停止も、確かに能力のうちだし。
「 ずっと、15才やってんの? 」
「……まあ、」
……4年、ぐらいは……
透が、穴があくほどじーっと見る。
そして、
「……へぇ。なるほど 」
やっと、ふいっと視線を外した。
「 納得した。確かに、それじゃあ役に立たねー能力だな 」
頷きながら、透は“なるほど~” と繰り返す。
……あれ。
なんか、話がまとまった感じだけど。
うまく説明も出来ないし、
……まあ、いっか。
「 そんな能力もあんだな。つーか、おまえ不死身って事かよ⁉︎ ある意味最強だけど、その容姿といい……吸血鬼みてえだな 」
透がさらっとそんな事を言う。
「…………」
「……わりぃ 」
しまった、とばかりに透が目を泳がせる。
「……別に 」
それからはお互い無言で、学校までの道のりを歩いた。