SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
学校までは歩いて20分ほどの距離だった。
制服を来たたくさんの生徒たちが大きな角ばった建物に入っていく。
あたしと透が生徒の流れに加わると、周りの視線が一気にあたしたちに集中した。
ビシビシと伝わる好奇心……
「 こっち 」
みんなとは別の“職員用” と書かれた所に透が入る。
「 はよっす 」
そこにはスーツを着ためがねのおばさんが立っていた。
「 あら~おはよう、一ノ瀬くん。 まあ、転校生を連れて来てくれたの? ありがとう~ 」
「 じゃあ、オレはここで 」
透がその場を離れ、他の生徒の中に紛れていった。
「 あなたが天使 美空さんね。私は担任の伊藤よ。よろしくね 」
「よろしく、おねがいします 」
あたしはペコッと頭を下げる。
……よし、敬語。マニュアル通り。
それから、“時間がない~” とワタワタする先生に自分の下駄箱を教えられ、校内用サンダルを履き、職員室へ向かう。
今日使う分の教科書と、生徒手帳、プリントの束を受け取り……
今、1年C組と書かれた教室の中にいる。