SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇D.S.P
ヴ~……ファンファンファン……
ピーッ! ピピーッ!! バンッ!!
ピーポーピーポーピーポーピーポー……
サイレンの音が入り乱れる。
一ノ瀬徹也(いちのせてつや)は困惑していた。
彼はSATの第四事件鎮圧部隊、D.S.Pの指揮官であった。
D.S.Pとは、近年増え続ける、PSY(超能力)の絡んだ事件を担当する、いわば闇の秘密組織である。
「 一体、何が起きたんだ 」
"藍生製薬株式会社"
本来ならば、ここへは近々突入する手はずになっていた。
だが、建物があった事などまるで嘘のように、そこには荒廃した景色が広がっている。
D.S.Pを結成して5年、一ノ瀬は必死に奴らを調査、追跡を繰り返してきた。それは、復讐という名の彼の信念……
この会社が裏でどんな事をしていたのか、その実態がようやく一ノ瀬らによって暴かれようとしていた、そんな矢先に……
"ビュルルル~"
つむじ風が焼けたにおいをかき混ぜる。
「チッ、証拠がなけりゃ、真実もなんにも分からねえじゃねえか 」