SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
●━━━━━【 事件簿 】━━━━━━●
向かい合うように家々が立ち並ぶ、ひっそりとした住宅地。
人通りのないその場所を、黒いジャージを着た男が、何かを物色するように歩いている。
やがて男は一軒の家の前で足を止めた。
石垣から庭木がはみ出る日本風家屋。
男は周りに人がいないのを確認すると、器用に石垣を飛び越えた。
うっそうと生い茂る庭木が男の姿を見事に隠す。
男は若干安堵した様子でひと気のない家屋に近づいた。
ポケットから小さなガスバーナーを取り出し、ガラスを炙る。霧吹きで水をかけると、きれいにガラスに穴が開いた。
男の空き巣の手口は百戦錬磨だ。
今日も完璧に仕事を終えられる、そんな自信が彼にはあった。
穴の開いた窓に手を突っ込み鍵を回し開ける。
カラッと窓を開けると一歩家に踏み込んだ。
「……?」
そこでやっと異変に気付く。
背中に感じる何かの気配……
男はバッとうしろを振り向いた。
「…………」
……誰もいない。
「 気のせいか 」
男は胸をなで下ろし再び足を踏み入れる。
「…………」
やはり男は動きを止めた。
やはり感じる。
感じるのだ。
何かの……気配を…………
ジメッとした重苦しい空気
生暖かい風が頬をなでる……
——ゴクッ
生唾を飲み込みながら、男はゆっくり視線をずらす……
ずらす………………ずらす………………
……………ずらす……………ずらす……
————「 ワッッ!! 」 ドスッ!!
耳もとでの大声、
瞬間、腹に飛んできた重い拳、
男は声を上げる間もなく気絶した。
「……ふぅ、」
美空はロープを使い、木に男を縛りつけた。
"ぼくはドロボーです"
そんな紙を男に貼り付け、美空はさっさとその場をあとにした。
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向かい合うように家々が立ち並ぶ、ひっそりとした住宅地。
人通りのないその場所を、黒いジャージを着た男が、何かを物色するように歩いている。
やがて男は一軒の家の前で足を止めた。
石垣から庭木がはみ出る日本風家屋。
男は周りに人がいないのを確認すると、器用に石垣を飛び越えた。
うっそうと生い茂る庭木が男の姿を見事に隠す。
男は若干安堵した様子でひと気のない家屋に近づいた。
ポケットから小さなガスバーナーを取り出し、ガラスを炙る。霧吹きで水をかけると、きれいにガラスに穴が開いた。
男の空き巣の手口は百戦錬磨だ。
今日も完璧に仕事を終えられる、そんな自信が彼にはあった。
穴の開いた窓に手を突っ込み鍵を回し開ける。
カラッと窓を開けると一歩家に踏み込んだ。
「……?」
そこでやっと異変に気付く。
背中に感じる何かの気配……
男はバッとうしろを振り向いた。
「…………」
……誰もいない。
「 気のせいか 」
男は胸をなで下ろし再び足を踏み入れる。
「…………」
やはり男は動きを止めた。
やはり感じる。
感じるのだ。
何かの……気配を…………
ジメッとした重苦しい空気
生暖かい風が頬をなでる……
——ゴクッ
生唾を飲み込みながら、男はゆっくり視線をずらす……
ずらす………………ずらす………………
……………ずらす……………ずらす……
————「 ワッッ!! 」 ドスッ!!
耳もとでの大声、
瞬間、腹に飛んできた重い拳、
男は声を上げる間もなく気絶した。
「……ふぅ、」
美空はロープを使い、木に男を縛りつけた。
"ぼくはドロボーです"
そんな紙を男に貼り付け、美空はさっさとその場をあとにした。
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