SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 ま~たかよ? てか、エンジェルって、すっかりそのあだ名、定着したな~ 」
あきれた声で奈津が言う。
ここ2、3日、何故か男子生徒があたしをそう呼ぶ。
しかも昼休みになると、あたしに“パワーカロリー” を置いていったり、朝は机の上にそれが積み重なったりしていた。
まるでお供え物のように。
もしかして、あたしをお地蔵様だと思ってるのだろうか。
「 つーか、あいつらもどーせならもっと気の利いたモン持ってこいっつーの。美空に意地でもソレしか食わさねー気かよ 」
「 でも、無難じゃない? もし口に合わないのとかだったらかえってマイナスでしょお?」
二人が机の上の袋をじーっと見つめる。
あたしはそんな真希と奈津に聞いてみた。
「 あ~。真希、奈津、あたし違うって言った方いいかな。お地蔵様じゃないって。それと、みんな顔赤いけど、どうしたの? 」
すると、二人はポカンとして、
「……ぎゃはははは~っ! なんじゃそりゃ〜⁉︎」
「 やだぁ~美空、なに言ってるのぉ?」
……思いっきり笑われた。
「 美空ってば、全然分かってないのぉ?」
「ははっ、美空すげ~よ、こりゃ男子たちも苦労するなぁ~ 」
その後も、あたしが何か言うたび、二人に笑われたり、呆れられたり。
……?
なんかよく、わからない。