SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
この手で奴らを捕まえたかった。真実をあぶり出したかった。そんな、やるせない思いが込み上げる。
薬品製造過程による何らかのトラブルか、それとも内部抗争か……
どっちにしても、こうも酷い状態になるものだろうか。
「指揮官! 少女を一人確保しました!」
黒のアサルトスーツを着た隊員たちがバタバタと駆け寄る。
「少女? 生存者がいたのか?」
「はいっ、……それが…… 」
一ノ瀬は息をのんだ。
タンカに乗せられていたのは、見るも無惨な少女だった。
髪の毛はすべて刈り上げられ、体には刃物でえぐられたような傷痕と、まだ乾かない切り傷。
肌色のほとんどが赤や青のおびただしいアザで覆われ、手足は所々が不自然に変形していた。
意識はないが、息はある。……しかし、
これが、人間なのか?
一ノ瀬は思わず目を伏せた。
だが、傷とアザのすき間に見覚えのあるタトゥーを見つけると途端に顔を険しくする。
「こいつ! Blue doll(ブルードール)の幹部、能力者か!!」