SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
初めてここで会った時、何故か両端のおじさんが変な殺気を出しながら、あたしに顔を近づけてきた。
訳がわからず、あたしは口角をあげて"こんばんは"と言ってみた。
すると、おじさんたちは顔を引きつらせながら無言でその場に立ち尽くし……
その後も何度かジロッと睨まれたけど、そのたんびにあたしはニコッと微笑んで、気にせずご飯を食べていた。
何日かこのやり取りが続いて、今では微妙な顔をしながらも、おじさんは“おお” と言葉を返してくれる。
「 お待たせしました 」
本日のプレートが運ばれてきた。
あたしはもぐもぐそれを食べながら、暗くなった窓の外を眺めていた。
「……なぁ、嬢ちゃん 」
ふいに、四角顔のおじさんが口を開く。
「……?」
“おお” 以外、おじさんが声をかけてきたのはこれが初めてだ。
「 嬢ちゃんは、ワシらが怖くないんか?」
こちらには目をくれず、前を向いたままおじさんが聞いてくる。
「「 ボス 」」
他の二人が顔色を伺うように口を開いた。
四角顔のおじさんは軽く手を上げ、黙れと二人を制止する。
……?
「 怖い? どうして?」
あたしは首を傾けた。
「……どうしてって、そんなもん、見て分からんのか? ワシら他のモンと違うだろ。姿、形、風貌が 」