SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……て、め!」
——ガッ
少年は力を振り絞り金髪少年に体当たりした。
「 痛っ、……てめえ、」
ゆらり、金髪少年が立ち上がる。
「しつけーんだよッ! とっととくたばれやッ!」
——ビュウンッ!
鉄パイプがうなりを上げて振り下ろされた。
「……っ!」
あたしは間一髪、
——ガシ!
素手でそれを受け止める。
「「「……!!」」」
警戒するように周りがザワついた。
「 なんだテメーは!」
トンネルの中は薄暗い。
さらにフードを深くかぶっているから、あたしの顔は見えないだろう。
「…………」
あたしは黙って立ち尽くす。すると、
——バキッ!
しびれを切らした金髪少年が、思いっきりあたしの顔面を殴りつけた。
多少体は動いたけど、倒れるほどじゃない。
「 誰だって聞いてんだよッ!」
金髪少年を先頭に、わらわらと周りにいた少年たちもあたしに敵意を向けてくる。
……よし。
一ノ瀬に言われた通り、一発打たせてやった。
……やるか。
あたしは"ボディ接着バリアー"を体に這わせる。
「シカトしてんじゃねーぞッ!」
瞬間、あちこちから鉄パイプが振り下ろされ、あたしの体を直撃した。
……でも、あたしは微動だにしない。
「「「……⁉︎」」」
沈黙する少年たち……
——グイ!
あたしは勢いよく鉄パイプを引き寄せて、
"ガガッ! ゴスッ……ガガッゴッ!"
少年たちにヒジや拳を浴びせていった。
「……ゥゥ、」
軽く打っただけで少年たちは動かなくなった。
ところが、
「 てめえ、殺してやるッ!」
大柄の一人の少年がギラギラした目でナイフを取り出す。