SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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"カア~! カア~!"


カラスがバサバサ飛び回る。

その後、あたしはマンションまでの帰り道を湧人と並んで歩いていた。


——ファサ、

湧人のブラウンの髪が風になびく。

いつかの帰り道のように、あたしは湧人の横顔をチラチラ見ていた。


「「…………」」


特に会話はない。

そのまましばらく歩いていると、見覚えのある大きな屋敷に到着した。


「……あれ、ここ……」


ハンカチの木の屋敷。


「ついでに寄っていけば?」


湧人がガチャッと門を開けた。


……ん?

湧人の家はあっち。あたしのマンションはこっち。

……あれ?


「 湧人、この間、マンション通り道だって言った 」


……逆方向、なんだけど。


「……別に。あの日は遠回りして帰りたかっただけだし 」


急にツンとして、湧人は奥へと歩いて行く。

……?

あたしも湧人の背中を追いかけた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「……花、散っちゃったね 」


ハンカチの木の花は、もうほとんどが地面に落ちていた。


「 咲いてるうちに来れば良かったのに。 みく、あれから全然来なかったよね 」


木を見上げながら、湧人が言った。
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