SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「あたしの、生活するの必要なやつ。300以上あるんだ 」


「……どうしてマニュアルが必要なの?」


「 だっていっぱい分からない。一ノ瀬と、一樹と、あと黒木も考えて、危険なんだって。 あ、これ一発打たせてやれって一ノ瀬、警察に厄介だって言うから……」


ストッパーが外れたように、次々と言葉が溢れてくる……


「 あたしD.S.PだけどD.S.Pじゃない。しるしのやつがジワッてなってグワッてなって、ここに伯耆坊がいる。最初は黒い玉で、天狗で呼ぶんだ。危なくて融合して、山に行ったら空に光の龍が…… 」


心のままに、するすると、あたしの口から自由な言葉が流れていた。

……と、


「 みく! ちょっと待って!」


すかさず湧人があたしを止めた。


……あ。 ……そうだった……


「 ごめん。 あたし、説明、苦手なんだ 」

「 ちがうんだ!」


湧人が首を横に振る。


「 説明は別に……みくの言いたい事は分かるんだけど……でも、」


「……?」


「ごめん、唯一オレの不得意分野……実はずっと不可思議な事は否定してきたから、無意識に頭に論理とか理屈とか数式とか浮かんで、収集つかなくて……」


「……?」


「……出来れば少しずつ聞いてもいいかな? スケールが大きすぎて、一度に全部は……オレの頭の方が処理しきれないから 」


そう言って湧人は苦笑した。


「少しずつ……とりあえず、オレの質問にだけ答えてくれる?」


「……わかった 」


それからあたしは、湧人に聞かれた事だけに答えた。

湧人は時々、驚いたような顔をしながらも、ちゃんと話を聞いてくれた。


……う~ん?

前もそうだったけど、

あたしの説明が通じる不思議。



「——えっと、武田のじーさん特訓して最初も凛子もトレーナーでESPとバリアー使えるのなんだけど弱くて不安定なんだ」


「……へえ、」


「貼り付けるのバリアーは四年やって一年前からD.S.PでESPは強いのあったのだったけど弱くてランクが——」


今までにない、新鮮な時間が流れた……

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